ブランド“minori”の記念すべき第一弾ソフトが、この『BITTERSWEET FOOLS』です。物語の舞台となるのは、イタリア中部の大都市・フィレンツェ。この街で様々な宿命や小さな温もりの中、強く生きる人々が織り成す群像劇を描く、インタラクティブ・ノベルです。
“インタラクティブ・ノベル”である本作では、プレイヤーは従来のゲームに多くあった「主人公=プレイヤー」というスタイルではなく、言わば映画の観客のようなポジションで、幾つもの物語を紐解いて行く事になります。そして、登場人物達が繰り広げる悲喜交々のストーリーを読み進める中で、それぞれの観客(プレイヤー)が各々の“BITTERSWEET FOOLS”を感じていただけることでしょう。
“すべてのシーンには、理由がある”。
それがこの『BITTERSWEET FOOLS』という物語を創るにあたっての、私達の考え方です。
本作は、確かに“美少女ゲーム”というジャンルに位置付けされる作品ではあります。ですが、私達はこの作品を、その括りに絶えずつきまとう「Hシーンを描く事を前提に作られたもの」というイメージの中に閉じ込めたくはありませんでした。
本作で描かれるのは、イタリアを舞台に展開される、闇社会を不器用に生きる人々と、彼らに関わる少女達の織り成す群像劇です。
作品の命であるこのストーリーを、いかに魅力あるものにするかという事。それこそが私達の目指す『BITTERSWEET FOOLS』の作品作りでした。
その中で大きなポイントとなったのは、“Hシーンの為の物語”ではなく、“物語の為のHシーン”という、映画や小説などでは至極当然の発想。Hシーンを含む各イベントシーンが物語を自然に盛り上げ、プレイする方が無理なく作品世界に入り込んで行ける。そんな、正に一本の映画のような味わいの“美少女ゲーム”。それがこの作品であり、「まず、物語ありき」という姿勢で作り上げた本作のストーリーを、どうぞお楽しみください。
舞台であるイタリア・フィレンツェの街並みと、それぞれがこの物語の主役である、そこに暮らす登場人物たち。それらを描く本編CGは、これまでの美少女ゲームには無かった、見る者に温もりを感じさせる、抑えた色調で描いています。
繊細なタッチでその心情まで表現されるキャラクター達。また、限界まで作画に拘った、美しい街や家具などの小物、そして澄み渡った空等、イタリアの空気までも感じられる背景。
それらハイクオリティーで美しいCGも、本作の大きな特徴であり、見所のひとつです。
例えば、晴れた日の公園で。また例えば、買い物に出かけた街の中で。そんな日常の風景の中、自然に頭に浮かんでくるメロディーはどんなものでしょうか。それは心和む静かな調べかもしれませんし、また、激しく叩き付けるようなビートかもしれません。しかし、そのいずれにも共通していることは、“その場面に合っていること”ではないでしょうか。
『BITTERSWEET FOOLS』の音楽を制作するにあたり、私達は、BGMにとって“ごく当たり前”という感覚を重視しました。どんなに素晴らしい楽曲も、それに相応しい場面で使われてこそ、その良さが活きるものです。
物語の始まりを告げるOPには、“始まり”を予感させる躍動感あるテーマを、物悲しいシーンには、人物の気持ちすら感じさせるBGMを。そしてその上で、それぞれの風景において、音楽がでしゃばりすぎないこと。
以上の視点に立ち、このシーンには始めからこの音楽があったのではないか、そんな自然な気持ちでゲームを楽しんでいただけるよう、またそれぞれの場面にすっと心が入り込めるよう、本作の音楽は作られました。
各楽曲の持つ高いクオリティー、そして、あくまで自然に物語を盛り立てるという、音楽が本来持つその力を、あなた自身の感覚で感じてください。
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