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かつて震災と大火に見舞われ、一度は焼け落ちた街――音羽。
そこは現在、ヨーロッパの童話から飛び出してきたような、美しい街並みとして甦っていた。
まるで、忌まわしい災厄の記憶を覆い隠すように……。 |
クリスマスの夜。
ひとりの青年が音羽の教会を訪れた。
遠い昔に交わした約束を果たすために。
彼を出迎える少女。
共に過ごした時代を穏やかに語りあう2人。
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「ずっとふたりで進んでいこうと決めた」
「そのはずだった」
「なのに、俺たちの手は離れ、違う道を歩いてここに来た」
互いが離れていた時間に、なにがあったのか。
2人はそれを確認しあう。
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少女は語る――。
「はじまりは……ちょうど1年前のクリスマスの夜」
「扉を開けて入ってきたのは、ひとりの男の子でした」
「どこかあなたに似ていて――ええ、懐かしい匂いがしたんです」
「だから私は思ったのかもしれません」
「ほんの少しだけ、その男の子の物語に関わってみようって」 |
現役の学生でありながら少女漫画家でもある広野紘。
クリスマスの夜、彼は2人の少女と出会った。
教会で誰かを待ち続けているという謎の女性・雨宮優子。
ひったくりにバックを盗まれ、それを追いかけるために紘の自転車を奪った少女・宮村みやこ。
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その冬、紘は学業と作家――現実と夢のどちらを選ぶかという選択に揺れていた。
そんな彼に、学園で再会したみやこが問いかける。
「いっぱい面倒抱えて無茶ばっかりしてるのに、逃げることはできないの?」
なにものにも縛られず、自由に生きるみやこに惹かれていく紘。
しかし、彼を見つめる少女が、もう一人いた。
紘の幼なじみであり、妹のような存在でもある新藤景。
小柄な身体にも関わらずバスケ部のレギュラー選手として活躍する彼女は、常に顔をあげ、前進し、みやことは別の道を紘に示していた。
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他愛ない学園生活のなかで触れあう、1人の少年と2人の少女。
その関係は、やがて恋心へと移り変わってゆくが――その糸はひどくもつれていた。
夢と現実の選択。
2人の少女との関係。
相対する2つの問題に、紘はひとつの答えをだす。 |
第1章から半年後。
時間の経過がもたらした変化は、新しい人間関係と、新しい物語を生みだした。
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冬の結末によって傷を負った“彼女”が、堤京介という少年と出会う。
映研に所属するカメラマンの京介は、普段は飄々とした性格だが――レンズを通した客観的な視点は、まだ物語が終わっていないことを見逃さなかった。
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第1章の物語を経て成長した広野紘や、変わらず教会で人を待つ雨宮優子。
彼らに見守られる中、“彼女”は再び立ち上がる決意を抱く。 |
青年は、憎悪に満ちた瞳で“少女”に問いかけた。
「……お前は誰だ?」
語られる『ef - a fairy tale of the two.』の真実。
もう1つの夏と冬――終わりの物語。
おとぎ話は続く。
第ニ部『ef - the latter tale.』へと。
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